ひとことで『屋根材』と言っても実は様々な種類の屋根があります。それは、長年の歴史の中で日本人が開発してきた物語でもあります。
そして屋根材はいろいろな種類や形・材質があります。どれも建設当時最適とみなし施工している屋根材ですね。屋根材は陶器瓦のようにメンテナンスフリーの物もあれば、メンテナンス必要とする物もあります。
それぞれに特徴がありますので、順にご説明いたしましょう。
1.和瓦
和瓦は基本的にメンテナンスを必要としません。ただし大風などによる瓦のずれや割れがあった場合にはすぐに修理が必要になります。また漆喰部分(大棟や隅棟の白い粘土部分)の剥がれや欠損などがある場合も修理する必要があります。雨漏りの原因となりますので、発見した場合はすぐに修理することが大切です。
2.洋瓦
洋瓦も和瓦と同じでメンテナンスは不要です。ただし、10年以上経過すると汚れが結構目立ちます。そのため、屋根工事を行う際は、高圧洗浄で綺麗にすることをおすすめします。また釘で直接止めてある瓦については釘が浮いていることがよくありますので、その際も釘の打ち直しやビス打ちに変えてもらうことをお勧めします。
3-1. セメント瓦
セメント瓦は、初めから塗装を施している屋根材で、セメント瓦自体に雨水が浸み込むと塗膜の剥がれの原因となります。そのため、定期的な塗り替えが必要になります。塗装の際は、密着性を良くするためにシーラーを入れてから中塗り上塗りをたっぷり使用し雨水の侵入を防ぐことが大切です。
3-2.セキスイセメント瓦
セキスイ瓦は築20年程前に、セキスイハイムで建てた新築で使われていました。今でもよく見かけます。施工方法は、「シーラー+上塗り2回の3回塗り」になります。施工の注意点は洗浄時にしっかり洗わないと後に剥がれの原因となりますのでキチンと洗浄することが大切です。
4.モニエル瓦
モニエル瓦とは、簡単に言うと洋瓦風のセメント瓦です。こちらも初めから塗装をしており、数年後に剥がれてくることはよくあります。そのため、定期的なメンテナンスが必要です。また、塗り替えの際の注意点は、モニエル瓦の表面にスラリー層という層があります。それらを”撤去”・”専用シーラーで固める”という方法をせずに、塗装を行ってしまうと数年後に塗膜が剥がれてきます。これらの知識を持つ業者選びをすることが大切です。
5-1.スレート瓦(コロニアル・カラーベスト)
一般住宅に多く使用されているのがスレート瓦(通称コロニアル)です。コロニアル屋根でよくある事象は、洗浄後の”ひび割れ”です。洗浄前はコケや汚れが発生しているのであまり目立たちませんが、洗浄を行うとひび割れがハッキリ確認できます。
ひび割れを確認した場合の補修方法は専用ボンドで接着するか割れがひどい部分はその部分のみ貼り替えします。
5-2.波型スレート セキスイU瓦
セキスイU瓦は一昔前に流行った屋根材です。材料自体が軟弱なので、塗り替えするというよりは新たにガルバリウム鋼板の貼り替え工事を行ったほうが良いです。
その理由は、材料自体の耐久性が弱いため、どんなに良い塗料を使用して塗装を行っても、剥がれや不具合を起こしやすいからです。そのため、何度も塗装工事を行う必要があります。
また、その分の費用をかけるのであれば、ガルバリウム鋼板に貼りかえた方が、結果的に安くなるという結果になるからです。
現在セキスイ瓦Uは2007年に販売終了しています。そのため、築年数15年以下の住宅であれば問題ないのですが、2007年以前に建てた方で、セキスイU瓦の住宅にお住いの方は、ガルバリウム鋼板へ貼り替えを検討したほうが良いです。
6-1.瓦棒トタン屋根
昔から一般的に多く使われているトタン屋根です。施工時の注意点はサビの発生している部分のさび落とし(ケレン作業)をしっかり行うことが大切です。これらを放っておくと後々塗膜が剥がれてきます。またサビが発生していた部分にサビ止め塗料を最低2回塗らなければ、すぐにまたサビが発生します。このような作業全体を下地処理といいますが、これをしっかり行うことが大切になります。
6-2.波板トタン屋根
波板トタンも瓦棒トタンと同じ材質で形が違うだけなので注意する点や施工方法は変わりません。
7.ガルバリウム鋼板屋根
最近の主流の屋根材です。成分はアルミニウム・亜鉛・シリコンからできていて、従来の鋼板よりも耐久性に優れています。デザイン性もあり人気の鋼板です。近年発売になった鋼板ゆえに既製品に塗装してある塗料も”フッ素塗料”が塗装してあることから、多く塗り替えの時はフッ素対応型のプライマーを使用します。
8.アスファルトシングル
洋風な家に使用していることが多いアスファルトシングルです。デザイン性もあり加工もしやすい屋根材です。表面がザラザラしているので汚れが付きやすいデメリットもあります。塗り替えをする際、塗料は水性塗料のみ塗装可能です。油性塗料を使用するとアスファルト成分が溶け出し綺麗に仕上がりません。現在では水性塗料でも長持ちする塗料は沢山ありますので、なんら問題はありません。
9.陸屋根
陸屋根とは屋上のことです。陸屋根は必ず防水塗装を施しております。防水塗装とは、防水層(水を通さない層)を2層作ってから最後にトップコート(防水層を保護するための塗装)を塗装する工事のことです。塗り替え時のコツは、防水層が劣化する前にトップコートのみ塗り替えをするということです。トップコートのみの塗装であればそれほど費用は掛かりませんが、防水層からやり直しとなると多額の費用が掛かります。そのため。防水層が痛む前にトップコート塗装を行うことをおすすめします。
ちなみに防水塗装の予算目安は、以下のとおりです。
工事の種類 | 耐候年数 | 費用(㎡) | 箇所 |
ウレタン防水 | 10年 | 4,000~6,500円 | すべて |
シート防水(ゴム) | 10年 | 3,500~7,000円 | 陸屋根 |
シート防水(塩ビ) | 15年 | 3,500~7,000円 | 陸屋根 |
FRP | 10年 | 4,500~6,500円 | ベランダ |
アスファルト防水 | 15年 | 5,000~7,500円 | 陸屋根 |
10.折板屋根
工場や倉庫などで多く使われている折半屋根です。折半屋根はとても丈夫ですが、屋根を押させているボルト廻りの腐食(サビの発生)はよくあります。ボルト廻りが錆びてくると隙間ができ雨漏りの原因となります。なのでボルト廻りの錆を落とした後、錆止め塗装を行い、仕上げ塗装まで終わってからボルトに専用のキャップを被せます。そうすることで隙間がふさがり、サビの発生も防ぎ長期にわたり屋根を劣化から守ることができます。
以上が、いろいろな屋根材についてでした。私たちにいかわ塗装のように、長年塗装工事を行っていると、どうしても、次の塗替え時期になると「屋根はもうそろそろ交換したい…」という意見も出てきやすいので、屋根の交換なども行っております。
塗装工事でメンテナンスできるのか、屋根の葺き替えをしたほうが良いのかも、無料診断をさせていただきますので、以下よりお尋ねください。